私、花火師になる。

8月5日、花火大会がありました。

浴衣姿の中学生くらいの女の子がとなりに、二人いた。

最初の花火が上がった瞬間、

たくさんの観客が「うわー!」と歓声をあげる中、

女の子の二人うち一人が、

「花火師すごい、わたし花火師になる。」

とても大きな声で叫んだのです。

その声は、まわりの観客を振り返えさせるほどでした。

女の子の友達、

「あんたには、花火師は無理よ。」

女の子、

「ママに、わたし花火師なると言ったよ。」

「ママは、好きにしなさいって。だから、わたし花火師になるよ。」

この女の子は、夏の夜空にどんな夢を描いたのだろうか!

『天の川の伝説、彦星と織姫』だろうか。

もしかしたら、『鶴の恩返し』だろうか。

十数年後、女花火師は、

夜の空を、どんな風に彩(いろど)るだろうか、

どんな花火だろうかと、想像してしまいました。

夏の夜の、幻想的な想いで。

夏の思い出は、綺麗すぎて忘れられない。

花火と少女と、夏の夜の思いで。

〈私、花火師になる。